グループ座談会
DX
DXの今と未来を
語り合おう
東急不動産 / イーウェル / 東急イーライフデザイン /
東急リバブル
DXの今と未来を
語り合おう 東急不動産 / イーウェル / 東急イーライフデザイン /
東急リバブル
2021年に策定した「GROUP VISION 2030」において、全社方針として掲げた一つがDXです。「Digital Fusion」をビジョンに掲げ、DXによって社会に存在するあらゆる境界を取り除き、ありたい姿の実現をめざすことを宣言しました。各社現場でその取り組みを推進する4人が集い、現状と今後への展望を語り合いました。
(2023年12月実施)
PROFILE
- Y.K.(東急不動産)
- 2018年入社。5年間住宅事業ユニットで新築分譲マンション「BRANZ(ブランズ)」の計画推進業務や首都圏の市街地再開発事業に携わり、2023年からDX推進部に。東急不動産ホールディングスグループDX推進部も兼務し、社内およびグループにおけるDX推進人材の育成を担う。
- H.M.(イーウェル)
- 金融機関を経て2013年に入社。約7年グループの会員組織の運営を担当した後、現在はサービス運営本部営業部にて、グループ各社のDX支援にはじまり販促や業務サポートなどを担当。
- R.S.(東急イーライフデザイン)
- 大学院でシステム機能科学を学び、ベンダーで長年システム開発に従事。2018年に入社してから現在までDX・ICT推進室に所属し、社内業務の効率化を目的としたシステムの導入や推進にあたる。
- R.S.(東急リバブル)
- 2017年入社。新築マンションの販売、新規事業の企画担当を経て、2023年よりDX推進部IT企画課に配属。主に社内システム(アプリ系)の開発・運用を担当し、売買仲介基幹システムの転換や新築非購入者向けレコメンドAIアプリの開発などに取り組む。
各社それぞれの再構築に挑む
本日は、各社でDX推進に励む皆さんにお集まりいただきました。私はグループ全体の推進を担当させていただく立場として、皆さんから様々なお話をうかがえるのを楽しみにしておりました。ご意見やクレームもどうぞ遠慮なく(笑)。現在グループ全体としては、情報セキュリティ環境の強化やデータ活用の基盤構築に注力している段階ですが、皆さんの周辺や社内ではどのような状況でしょうか?
東急リバブルでは、メイン事業である不動産売買仲介部門の基幹システム転換プロジェクトが佳境を迎えています。50ほどのシステムが連携する大規模なもので、3年がかりで進めてきました。業務の効率化とシステムの使いやすさをいかに高められるかが成否のポイントととらえて業務に当たっています。
東急イーライフデザインではまず業務の効率化。これまで紙でやってきたものをすべてシステムに置き換えるプロジェクトなどが急ピッチで進んでいます。私たちは有料老人ホームなどの施設を運営していて、ご家族に向けたお手紙や案内をこれまでスタッフが手書きで行ってきたのですが、AIツールを使ってこれを簡略化するような取り組みも始まっています。社員のリテラシーは様々なので、誰もがデジタルであることを意識せずに利用できるような環境をめざしたいと思います。
私は社内のDX推進担当ではなく、グループ各社の業務を支援する立場なので、最近の仕事についてご報告しますね。まずマンション管理などを行っているグループ会社では、管理組合業務をサポートするツールのWeb化が図られ、その開発・運用サポートに携わりました。リフォームなどを手がけるグループ会社では、集客から受注、着工という営業ステップの見える化と、顧客管理、予実管理のシステムを導入。運用を含めて、伴走させていただいています。いずれも開発や導入が目的ではなく、お客様や現場スタッフがメリットを感じて使っていただくためのものなので、その軸をぶらさないよう常に心がけています。
CX、そしてイノベーションへ
ありがとうございました。グループでは2025年までを「再構築フェーズ」として、ビジネスプロセス(業務の省略化)とCX(お客様への感動体験創出)を推進しているわけですが、各社においては特にビジネスプロセスの取り組みが着実に進んでいると感じました。一方東急不動産では、CXの取り組みも加速しています。ホテルタングラム斑尾内に国内ホテルでは初めてのレジレス無人売店をオープン、エリアマネジメント活動ではNFCタグ※1を使いリアル接点をデジタル化する試みが始まりました。「BRANZ ギャラリー表参道」では、デジタルツイン※2を使って各建物の中にいるような体験をご提供する等々、ここでご紹介するにはとても時間が足りません(笑)。
以前所属していた部署で、VRシアター等を備えた新築マンションの販売センター「東急リバブル銀座サロン」の開設に携わっていたこともあって、「BRANZギャラリー表参道」のデジタルツインにはとても興味があります。当社でも導入に向けた検討を進めているので、お客様の評価が気になります。
グループ各社では施設やサービスごとに“東急ファン”の方が多くて、とても貴重なお客様だと感じています。そのような情報をグループ間で連携することで新たなサービス提供が可能になるでしょうし、当社もまた様々にお手伝いできると思います。グループの中でもこのような構想はありますが、いかがですか?
2025年以降の「強靭化フェーズ」ではイノベーション(知的資産による価値創造)によって収益源の多様化を図る計画ですが、ご指摘の件はまさにこれに当たると思います。基盤の構築はすでに検討が始まっていますが、その活用方法については各社のアイデアや意見を集める必要があると思いますので、その際はぜひ皆さんのお力をお貸しください。
顧客情報のグループ間連携は、サービスの質を革新的に引き上げてくれると思います。当社でも大いに期待しております。
ブリッジパーソンを軸に、技術情報と目的意識を共有
私は、Y.K.さんたちホールディングスが主催する研修やミーティングに参加させていただいて、このほど「ブリッジパーソン」という役割をいただきました。
東急不動産ホールディングスグループでは、ブリッジパーソンを「デジタルをビジネスに落とし込むことでプロジェクトを主体的に推進できる人財」と定義しています。現在DX推進人財の拡充に取り組んでいますが、中でもこのブリッジパーソンの育成に注力しています。ブリッジパーソンに求められる知識やスキルを身につけていただくための育成プログラムを実施しており、R.S.(東急イーライフデザイン)さんにもご参加いただきました。今後も様々なプログラムを企画していく予定です。現時点での知識や経験は問いません。意欲のある方にはどんどんチャレンジいただきたいと思います。
私も一度AIの研修に参加したことがありますが、すごく勉強になりました。ブリッジパーソンの育成だけでなく、情報提供やITツールの普及など裾野を広げるような活動も色々されていますよね。
新しいツールやサービスを試験的に取り入れてはメールで詳細を教えてもらえるのも、とても役立っています。AIサービスのアカウントを付与していただいたことで、先程お話しした業務改革なども動き出せました。
ファイル共有ツールを導入しているグループ各社も多くなって、すごく仕事で連携しやすくなりましたよね。それを使ってグループ内イベントなんかも簡単に開催できるので、人材交流のいいきっかけになりそうです。
皆さんからそう言っていただけると本当に嬉しいです。各社それぞれの事情があるので、何が正解なのか、まだ手探りしながらいろんなことを進めています。ホールディングス全体のDX推進を見る立場として、グループ全体に横串を通すような存在になれたらと思っています。ですからどんどんご相談ください。皆さんと一緒に考えて、一緒に成長できたらと思います。
連携を深めながら、圧倒的な強みを築く
最後に皆さんから、今後の目標などお話しいただけますか。
先に言われてしまいましたが、私もグループの横串的な存在をめざしています(笑)。DX推進をするためには事業内容を深く理解する必要があります。グループ各社とお仕事させていただいているので、各社のDX推進をぜひお手伝いできたら良いなと思います。DXが最も進んでいるグループだと言われたいですね。当社は福利厚生のアウトソーシングがメイン事業なので、今回このような場で業務のお話ができたのはとても良かったです。ありがとうございました。
DX推進部にいるというだけでキラキラした印象をもたれてしまいますが、実際は地道な作業の連続です(笑)。それでもシステムを検証する中で、これまで見えていなかった業務の様々な特性や課題が発見できるので、企画担当としてのモチベーションが上がります。そしてその結果「業務課題が改善された」という声が事業部門から聞こえてくると、大きなやりがいを感じます。自身が関わったシステムが当社の武器となるよう、利用推進にも全力で取り組んでいきたいと思います。
学生さんからすると、有料老人ホームを運営する当社はDXからすごく遠い存在に感じるかもしれません。でも2030年には最もDXを活用する業界になっている可能性もあると思っています。既成概念にとらわれず、今後も貪欲に情報を得ながら、将来の可能性を追求していきたいと思います。
DXの推進はグループが二本柱の一つに掲げる大目標です。だからこそ限られた人間だけで到底やれるものではなく、一人ひとりがビジネスを本気で変革していこうという意識を持つことが大切だと、この一年で強く感じました。H.M.さんに先を越されましたが(笑)、このような役回りをいただいた限りは、「DXと言えば東急不動産ホールディングスグループ」と言われるくらい突出した存在を目指したいと思います。皆さん、今後ともどうかよろしくお願いします。本日はありがとうございました。
※1 Near Field Communication:近距離無線通信
※2 仮想空間に現実空間の環境を再現し、高い精度のシミュレーションを行う技術