COLLABORATION
グループ座談会

環境先進
その先にある、
サステナブルな社会へ 東急不動産 / 石勝エクステリア

当社グループが2021年に発表した「GROUP VISION 2030」では「WE ARE GREEN」を旗印に掲げ、誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来の実現をめざすことを宣言しました。さらに全社方針として「環境経営」を柱に位置付けています。事業においてその取り組みを牽引するお二人から、活動状況や今後の展望などうかがいました。
(2023年12月実施)

PROFILE

Y.H.(東急不動産)
ウェルネス事業ユニット 事業戦略部 業務企画グループ 兼 東急リゾーツ&ステイ地域創造統括部
2016年入社。7年間住宅事業ユニットに在籍し、分譲マンションの販売や開発、商品企画、環境対応などに従事。2023年4月より志願してウェルネス事業ユニットに異動、環境対応・DXの推進に取り組む。
T.Y.(石勝エクステリア)
造園緑化事業部 設計1G
農学部で造園緑地計画などを学び、造園設計事務所や建設コンサルタント、外構施工会社を経て2019年に入社。マンションなどの植栽設計に携わり、現在は東急不動産が開発・改修を進めるリゾートホテルのランドスケープ設計を担当。
司会
R.H.
(東急不動産ホールディングス 人事部)

さらなるチャレンジを求めて

R.H.

本日はお忙しい中、ありがとうございます。グループビジョンの発表から2年半が過ぎて、採用担当の立場から「WE ARE GREEN」という言葉が学生さんにもようやく浸透してきたなと感じます。また、「環境経営」に向けた各社での取り組みも本格化してきました。まずはお二人の現況からお話しいただけますか。

T.Y.

所属する設計部では、様々な事業主様から依頼を受けて、マンションや戸建て住宅、商業施設、ホテルなど幅広い緑地環境を対象とした、外構植栽設計を行っています。私はそこでいま、東急不動産が進める「リゾートホテル宮古島」の新築計画と、「nol hakone myojindai」の改修計画などに携わっています。いずれも、昨今の社会的な要請や期待を強く感じながら、環境に配慮した施設づくりを意識して業務にあたっているところです。

Y.H.

私は7年間住宅事業ユニットに所属して、新築分譲マンション「BRANZ(ブランズ)」の販売や商品計画を担当しました。特に最後の2年は、そのリブランディングとなる「環境先進マンション」の実現に向けた商品企画やガイドラインの策定などに取り組みました。今の部署に異動してまだ半年少々ですが、訪れるお客様にサステナブルな体験などを楽しんでいただくべく、当社リゾート施設の環境取り組みに横串を刺し、「体感型サステナブルリゾート」として提供価値を明確にするためのブランディングをスタートさせました。いまはその施策立案の真っ最中。あと、2030年に向けたユニット全体の計画も準備を進めているところです。

R.H.

Y.H.さんは希望して異動されたそうですね?

Y.H.

はい。環境への取り組みはアセットをまたいで連携することも多くて、そろそろ別のアセットも経験したいなと考えていたときに、ウェルネスの人たちと話す機会があったんです。そこで、エコツーリズムや当社保有森林の活用など、リゾート地や森といった“自然資本”を使って面白いことがいっぱいできそうだと思いました。これまでも取り組みやイベントなど施設単体では色々やっていたのですが、グループをあげた大きな取り組みにするのが私の目標です。

何のためにやるのか、を考え抜く

R.H.

現在の業務において、お二人はどのような点を心がけておられますか?

T.Y.

リゾート施設の場合、宿泊されるお客様の多くはその土地の文化や風情、自然環境に浸ることで非日常の時間を楽しみたいと考えておられます。だから、できるだけ土地在来、その土地で育った植栽を中心に設計するよう心がけています。現在関わっている「nol hakone myojindai」では、現地調査のときテッポウユリがとてもきれいに咲いているのを見つけて、それを植栽計画に盛り込みました。ささやかな取り組みかもしれませんが、その土地が本来持っている力を引き出して育てることが、生物多様性にもつながっていくのかなと思います。

Y.H.

素敵なお話ですね。私はそんな土地それぞれの力や魅力を人々の「体験」というカタチに変えることで、保存や発展につなげられるのではないかと考えています。単に方針を打ち出して、施策メニューを並べただけでは誰も本気で動いてはくれません。それをやることの意義、その先にもたらすものに共感して初めて意欲が生まれる。住宅事業のときにも経験しましたが、社内外の様々な立場の方の意見を取り入れながら、全員が納得するような進め方と明確なストーリーが必要です。結果、自分ごととして前向きに進めてくれる人や取り組みを応援してくれる人が増えていったことが、すごく嬉しかったですね。

R.H.

そのストーリーは、業務に携わる者だけでなく、ひょっとするとリゾートに来られるお客様に対しても必要かもしれませんね?

Y.H.

おっしゃる通りです。丁寧に分かりやすくストーリーや意義を伝えることが必要ですし、お客様接点の多い事業を行う我々だからできることだと思います。目新しさとか、流行りだからというだけではきっと長続きしないでしょう。ともに自然の尊さを感じ、それを守り育てる一歩につなげなければと思います。

T.Y.

緑化というのは植物を植えて緑地をつくるだけでなく、そこからどのようにして緑を育て成長させていくのかも併せて考えることが必要です。それはY.H.さんの取り組みでも同じということですね。

Y.H.

はい。それでも2、3年前に比べたら、社会全体の環境への意識が格段に高まっているのは確かなので、この勢いにうまく乗っていくことも重要です。新たな挑戦の機会でもあるので、「環境」という切り口に、東急不動産ホールディングスならではの新しい価値、解決策を付加し、選ばれ応援される企業で在り続けなければならないと思っています。

広がるグループの活動にも注目

R.H.

10月にホールディングスを含めた3社で、「グリーンインフラメニュー」を発表しましたね。

T.Y.

造園・緑化における環境技術を8つに分類して、私たちがこの事業でどのように環境に貢献できるかを可視化したものです。当社ではこれらをステークホルダーの皆さんと共有しあらゆる事業に活かしていただこうと、「Greentect」という評価システムを立ち上げました。国内の造園業界では初めての試みらしく、弊社がこれまで造園・緑化事業で推進してきた環境緑化技術・ノウハウを基に、自然環境の多様な効果を活用していく環境事業への取り組みを促進するきっかけになればと期待しています。

Y.H.

私も環境プロジェクトを進めるにあたっては様々なグループ会社と連携を進めていますが、こういった技術面から推進できる存在がいるのは、本当に心強い限りです。T.Y.さんは、グループ内の取り組みで何か注目しているものはありますか?

T.Y.

東急リゾーツ&ステイが行っている「もりぐらし」ですね。プロモーションにとどまらず、環境配慮やSDGsへの取り組みなど、リゾートタウンと地域が抱える社会課題に森という自然資源を活用してその解決に取り組んでいる点が素晴らしいと思いました。「nol hakone myojindai」においても東急リゾートタウン蓼科に関わられた東急リゾーツ&ステイの方が参加されていて、大いに勉強させていただいています。

Y.H.

私は、東急コミュニティーが我孫子ビレジという大規模団地で取り組んだ「団地の長寿命化」です。そこは1977年に東急不動産が手がけた大規模ニュータウン開発事業で、ヨーロッパの集合住宅にならって緑豊かにつくられた先進的な団地だったそうです。鉄筋コンクリート住宅の法定耐用年数は47年とされていて、老朽化した団地をどうするかが大きな社会問題となっていますが、ここでは理事会が主導して「百年マンション」という目標を打ち立てた。自然環境も含めたきめ細かい維持修繕によって、今も入居率が95%もあるそうです。

T.Y.

それもまた素晴らしいですね。新しいものをつくるのではなく、すでにあるものを大切に使っていく。私たちの植栽の考えとも大いに共通します。

環境先進企業として、走り続けよう

R.H.

ここで一つ難しい質問をお出しします(笑)。あなたにとって「サステナブルな社会」とは?

T.Y.

ホントに難しいですねえ(笑)。先程も話題になりましたが、「何かを行うとき、その先を考えて進めること」だと思います。私が行う植栽計画でも、それができたときに喜んでいただくのは当然のこととして、その緑がその場所に本当に必要なものなのか、将来に渡って長く愛されるものになるのか、そんな自問自答をつねに行っています。

Y.H.

私は「他者や次の世代に対して思いやりがもてる、想像力のある社会」です。自分のためだけに環境へのモチベーションを保つのは難しいですが、そこに他者や未来の子どもたちまで想像すると姿勢が変わってくると思います。社内外に向けてもそのようなメッセージを発信して、共感と活動を広げていけたらと考えています。

R.H.

お二人とも、素敵なご回答をありがとうございます。最後は、学生さんに向けたメッセージで締めくくっていただけますか。

Y.H.

もともと若手にもどんどん挑戦させてくれる会社ですが、今回のように全く新しいことをやる場合は年齢や立場を越えた議論が必要で、実際に若手から自分の意見や想いを発信しています。そして議論を尽くし、あるべき姿を共有したら一丸となって実現にひた走る。そんなところが私は大好きです。一人ではできないことを仲間と一緒にやり抜く。一社では実現できないことをグループで乗り越える。そのような活動をこれからも広げて行きたいと思いますので、ぜひ仲間に加わってください。

T.Y.

これまで強くは意識してきませんでしたが、自身の仕事が社会や環境に貢献できるというのは、とても幸せなことなのだと思います。石勝エクステリアでは昨今の環境をとりまく動向を鑑みて、これまでの「造園業」から、造園業を通じて環境貢献・社会課題の解決といった付加価値を提供していく「環境サービス業」への変革を進めています。社員一人ひとりがそのことを意識して、主体的に取り組んでいかなければならない時代なのだと受け止めています。今回のテーマである「環境先進」は、私たちのあるべき姿を語るにもぴったりの言葉ですね。一緒に業界の先頭を走り続けましょう。

R.H.

本日は、ありがとうございました。