COLLABORATION
グループ座談会

商業施設
グループの連携が、
新しい価値を創り出す 東急不動産 / 東急コミュニティー / 東急Re・デザイン /
東急不動産SCマネジメント

当社グループが運営する商業施設のテナント数は1,387社(2023年8月現在)にもおよびます。その多くに関わる主要4社からメンバーが集い、商業施設の今とこれからを語り合いました。
(2023年12月実施)

PROFILE

T.M.(東急不動産)
都市事業ユニット 都市事業本部 商業事業部
商業施設に関わりたいと2016年に入社。以来ずっと商業事業に携わり、開発から運営まで幅広く経験。現在は東急プラザ表参道原宿東急プラザ渋谷のリニューアルを担当。
K.F.(東急コミュニティー)
ビル事業本部 第一事業部 みなとビル運営部
高校・大学では電気を専攻し、2014年に設備系総合職として入社。2019年から現在まで「東急プラザ蒲田」で設備管理を担当。2021年よりビルマネージャーを務める。
M.S.(東急Re・デザイン)
スペースパートナー事業部 都市施設第一営業部 営業第一チーム
2015年に東急コミュニティーに入社し、2017年の東急Re・デザイン設立とともに出向。以来一貫して建物工事、テナント工事の営業に従事。
R.T.(東急不動産SCマネジメント)
企画開発本部 運営企画部 運営企画課 兼 パートナーリレーション課
飲食店のコンサル業を経て、2017年に入社。あべのキューズモールの販促担当などを経験し、現在は2つの課を兼務し、施設運営とテナント交渉にあたる。

各社の役割、それぞれの業務

― まずは商業施設における各社の役割と、ご自身の業務についてご紹介いただけますか。

T.M.

商業施設において東急不動産は、アセットマネージャー(AM)という役割を担います。AMは、施設の価値を高めるために、全体的な方針や計画の策定や、予算管理が主な役割です。その中で私はいま、東急プラザ表参道原宿と東急プラザ渋谷のリニューアルプロジェクトを担当していて、施設単体だけでなく東急グループが推し進める「広域渋谷圏(Greater SHIBUYA)」構想との連携を図りながら、エリア価値の向上もまた重要なミッションとなっています。

R.T.

続いてプロパティマネジメント(PM)を担うのが、東急不動産SCマネジメントです。AMからの委託を受けて施設の運営管理全般を行い、施設によってはテナントの誘致や管理などのリーシングマネジメント(LM)も担当します。私の場合、少し前まで尼崎や阿倍野のキューズモールに常駐して運営管理業務にあたっていましたが、いまは本部で事業全体の企画や推進に携わっています。

K.F.

PMからの委託を受けて、施設内の設備や機械の管理を担うのが、私ども東急コミュニティーです。電気や熱源、消防、衛生などその範囲は多彩で、大規模施設になると数名が常駐して24時間任務にあたります。私は現在「東急プラザ蒲田」でビルマネージャーを務め、設備だけでなく清掃や警備の管理も行っています。

M.S.

同じくPM、BMからの依頼を受けて、工事全般を行うのが、私たち東急Re・デザインです。その中で私は営業担当として商業施設だけでなくオフィスビルにも携わっておりまして、テナント様区画の工事から、オーナー様向けの館内美化や環境改善といった建物の資産価値向上に向けた工事など幅広く行っています。

大切にしていること

― 皆さん現在の業務においては、どのようなことに注力されていますか?

R.T.

どの業務においてもたくさんの関係者が関わる仕事なので、「全体最適」をいつも念頭においています。たくさんの登場人物の中で、様々な調整を行い、最終的な着地に持っていくことが我々PMのミッション。その一方で、個人同士のつながりや信頼関係があってこそ成り立つ業務もたくさんあるので、そこはとても大切にしています。「発注する側がエラい」なんて考えはもってのほか(笑)。互いのリスペクトが仕事のクオリティを高めると信じています。

T.M.

ゼロからつくる場合に比べて、リニューアルは既存のものを活かしつつの開発なので、どうしても制約が多くなります。でもその中で最大限の成果を生み出すには、やはり自身が固定観念に縛られてはいけないと思っています。施設単体だとやれることは限られても、渋谷という街でとらえれば可能性は無限大。不動産という枠をとっぱらってでもチャレンジする価値のある仕事だと感じます。

M.S.

いま「制約」というお話がありましたが、私たちの仕事でも施設ルールや法令など、工事に関する制約事項が多く関わってきます。ルール順守は当然ですが、その中でもオーナー様やテナント様の希望を可能な限り叶えられる方法がないか模索し、お客様に寄り添った提案ができるように心がけています。

K.F.

私どもの仕事は表立って見えるものではなく、快適や安全をむしろ“当たり前”のように維持することが求められます。そのためにセンサーと自身の五感をフル活用するわけですが、自分たちの基準だけにとどまらないよう、例えば室内温度などについてはテナント様とコミュニケーションをとりながら場所ごとの“適温”を探るなどしています。また最近ではイベントなどにも積極的に参加して、お客様や地域の方々との交流から「快適」のヒントを得るように努めています。

商業施設が抱える課題

― 最近の商業施設の動向や傾向をどのようにとらえていますか?

K.F.

私の担当施設で見ると、コロナがひとまず収束して、客足はほぼ以前の状態に戻りました。ただ、年始などの催事やイベントとなるとまだ人が少なく感じます。大人数が集まるところを避けているのか、ネットやECに流れているのかはわかりませんが。

R.T.

私も同じ印象です。同時にエネルギー価格や運営管理などにかかる人件費が高騰していて、決して楽観できる状況ではありませんね。競合施設を見渡すと、出店テナントが同一化しているようにも感じるので、ビジネスモデルそのものが行き詰まっているのかもしれません。これまでとは違った来館動機、新たな収益源をつくり出していかなければと思います。

T.M.

同感です。ネットでの買い物が主流となり、様々な娯楽があふれるこの時代に、商業施設がいつまでもショッピングだけの場でいられるとはとても思えないんです。もっと体験や共感を生み出す場になる必要があるのではないかと、いま強く感じているところです。

M.S.

少々ネガティブなお話が続きましたが(笑)、テナント様の出店工事で言えば少しずつ上向き傾向にあると感じています。コロナ禍当時は、居抜き入居などコスト重視のプランが多く感じましたが、最近はコストをかけてでもテナント様のイメージを一から作りこむ出店工事が増えてきているように思います。海外ブランドからの依頼も目立っていますし、課題も多いですが、いい流れを感じますね。

グループに寄せる期待

― グループ内の連携については、どのようなご意見をお持ちですか?

M.S.

先程お話しした、法令や施設ルールをクリアする方法をグループ間でいつも共有していて、なおかつ各社同じ目的意識で助け合えるのでとても助かっています。かといって、グループだからという変な甘えはなく、厳しい意見も遠慮なく言い合えるところがつくづく素晴らしいなと思います。K.F.さんは普段とても優しい方ですが、こと建物を守る防災の立場となると本当に厳しくて(笑)。

R.T.

私も見かけはフランクですけど、厳しいですよ(笑)。グループ内連携で私が良いなと思うのは、あまりセントラルな縛りがなくて、各施設に大きな裁量を持たせているところです。例えば関西のキューズモールで行う販促イベントはとても関西色豊かで、東京の方が見たら「ふざけてる」と感じるくらいのユニークさを大事にしています。一方で関東の東急プラザ渋谷や銀座では、都市型施設として流行やオシャレさを意識したイベントを行うなど、施設ごとにかなり雰囲気が異なっています。そんな違いを「地域性」や「施設の個性」ととらえる器の大きさが、このグループにはあると思います。

K.F.

施設ごとに特色がありますよね。だからこそ、現場の社員同士が深く連携して、同じ方向を向いていくことが大切だと思います。もちろん防災についてもです(笑)。

T.M.

グループ連携の大きなメリットとして「突破力」があげられると思います。新しいことをやるには多くの関係者を巻き込むことになりますが、グループ会社にお願いできる業務も多いので、受注者・発注者という関係を超えた仲間意識が、色んな壁をさらりと乗り越えてきました。「広域渋谷圏構想」は壮大でとても難しいテーマですが、ここにいる4社だけでなく、もっとたくさんのグループ会社と力を合わせて突破していきたいと思います。

心からのPR

― 最後に、学生へのメッセージをお願いします。

K.F.

私たちビルマネジメントの仕事は、お客様から見えるものではないですし、“当たり前”を維持することなので「ありがとう」と言われることも滅多にありません。それでもいらっしゃる方やそのご家族の幸せを守り、紡ぐ仕事だと誇りに感じながら、私たちは日々業務に務めています。このような仕事に共感する方がいたら、ぜひ一緒にやりましょう。

M.S.

カタチに残ることが、この仕事の一番の魅力だと思います。多くの人が行き交う大きな施設で、誰もが知る有名なテナントさんの店舗をつくれるのは、若い社員たちの大きなやりがいになっています。しかもグループ会社との共同作業なので、川上から関わることも多い。でもその環境に甘んじることなく、グループ外からも高く評価される会社になろうというのが私たちの目標です。チャレンジをお待ちしています。

R.T.

私は「あべのキューズモール」を見てこの会社に転職しました。そしてここで約3年の時を過ごし、今もほぼ毎週3人の子供を連れて遊びに来ています。いつかここの総支配人になるのが目標で、そのためにいま色んなことを学んでいます。たくさんの会社や人と関わり、手掛けたことが数字だけでなくお客様やテナント様の表情にも表れる、とてもエキサイティングな仕事です。それを「おもしろそう」と感じてくださった方、ぜひ一緒に商業施設を盛り上げていきましょう!

T.M.

私は「みのおキューズモール」推しです。入社2年目からの約4年間そこのリニューアルに携わって、その街に暮らす人たちにとって無くてはならない存在であることを痛感しました。グループの皆さんと一緒に苦労した日々が今も原点となっています。東急不動産はたくさんのアセットを持っていて、キャリアの選択肢も様々ですが、私はできればこの先もずっと「商業施設」に携わっていたい。すべてを賭けて、新しい価値をつくりあげていきたいと思います。